【憂鬱な気分を抱えた人へ】『死にたいけどトッポッキは食べたい』(著:ペク・セヒ)読後感想
食べることも大好きなnadesukiです(/・ω・)/
『死にたいけどトッポッキは食べたい』(著:ペク・セヒ)という本を読んだので、感想を書いていきます!
※本記事はネタバレを含みます。感想部分には個人的な死生観など、かなり重めな内容を書いています。苦手な方は読み飛ばしてください。
この本を読んだきっかけ
本屋巡りをしていた際に、タイトルを見て手に取りました。
ショッキングなタイトルに、ふんわりとした表紙のギャップが気になり、すぐにnadesukiの読みたい本リストに載りました。
私は大学で哲学を専攻していたこともあり、「死」というものに興味がありました。
- 人は死んだらどうなってしまうんだろう
- 自殺したいと思っている人を止めるためにはどうしたらいいのだろう
- どうして生き物は死ななければならないのだろう
- 天国や地獄は存在するのか
などなど、一時期は冗談抜きで10分に1度は「死」について考えているような状態だったこともあり、タイトルを見て思わず惹かれてしまったのではないかと思います。(;^ω^)
どんな内容?
気分変調症(軽度のうつ病)を患う著者と、医師との対話形式でお話が進みます。
・憂鬱な気分が消えない
・人の目が気になって仕方がない
・容姿にコンプレックスを持ってしまう
・激しい白黒思想(極端な考え方)を持つ
・自己評価が低い
など、対話を通して著者自身が抱えている悩みが浮き彫りになります。
精神病を患ったのは著者の家庭環境に問題があり、自己肯定感を持てなかったことが原因であると言及されています。
この本は最終的にとても中途半端な終わり方をします。
医師は都度アドバイスや状況整理などをしますが、根本的に著者の症状が治るわけではありません。
劇的な成長や回復がないからこそ、リアルな作品だなと感じました。
感想(閲覧注意)
著者が内気で小心者というところが自分と似ていたので親近感を覚えました。
作中にはネガティブワードもバンバン出てきますが、私自身ネガティブな思考の持ち主のため、抵抗なくさらっと読めました。
気分変調症という病気のことは初めて知り、自分もかつてそうだったのではないかと思わせられました。
一番印象的だったのは、自殺を「自由な死」と呼んでいる箇所でした(「自由な死」という表現は『自殺日記』(著:ホン・スンヒ)の作品内で使用されていたそうです)。
私たちは生まれることを選択できません。問答無用で生まれ、時間がたてば死んでしまいます。
それってなんだかとっても理不尽だなぁと、思わずにはいられません(^▽^;)
だからこそ人生の終わりを自分で決定する自由があってもいいのではないかと、常々考えてきました。
「そんなことない!どんな状況でも死んではダメだ!」と言いたくなる方もいるかもしれません。
ただ、世の中には死よりも辛い生があるのだと、私は自分や周囲の人たちの人生を見て思います。
「生きづらさ」というものは、本当は誰でも持っているもので、皆あえて表面に出していないだけなんだというのが、nadesukiの考えです。
「自由な死」については、ポジティブな見方もできます。
自分がこの日に死ぬということがわかっていたら、その日までに必要な準備をすることができます。
財産分与から遺書の執筆、葬儀の段取りなど、死ぬだけでも様々な用意が必要です。
さらに言えば、独りで死ぬのが嫌だという想いを持っている人もいるのではないでしょうか?
独り残されて生きていくくらいなら、一緒にあの世へ連れて行ってほしかったと思う人もいると思います。
私自身、残される側になる恐怖は常に感じています。
死の恐怖というのは、得体の知れなさからくるものが大きいため
- いつ死ぬか
- だれと死ぬのか
- 死んだあと残された人はどうすればいいのか
という疑問をつぶせれば、少しは恐怖心をぬぐえるかもしれません。
ここまで書いた内容は、あくまで一個人の思想なので「そんな考え方をする人間もいるんだなぁ」くらいに思っていただければ幸いです(・_・;)
まとめ
本書では、全体を通して淡々と会話が進んでいる印象を受けました。
ただ、文章はわかりやすく簡潔で読みやすかったです。
人間だれしも暗い部分はあります。この作品はそんな人間の負の一面を丁寧に切り取っているなと感じました。
ところで皆さんはアルト・シューラ―という心理学者が提唱した「同質の原理」というものをご存じでしょうか?
音楽療法の一種で、自分の気分と同質のものを聴くことで、気持ちを落ち着けることができるそうです。
暗い気分のときは明るい曲を聴くよりも、暗い曲を聴いたほうが精神が安定するそうです。
この理論と同じように、気持ちが沈んでしまったときは無理に明るいものに触れるのではなく、暗い雰囲気の本や曲で心を癒してみるのも良いのではないでしょうか?